神社を深く理解する上で欠かせないのが、重層的に構築されてきた歴史的な序列システムです。神道には仏教のような単一の教主や中央集権的ピラミッド組織が存在しなかったため、時代ごとに異なる基準でランク付けが行われてきました。
最初の体系的な格付けは、平安時代の延長5年(927年)にまとめられた『延喜式神名帳』に見られる式内社(しきないしゃ)制度です。朝廷から幣帛(へいはく)を賜る「官幣社」と地方官から賜る「国幣社」に分かれ、さらに祈年祭の幣帛を受け取る「名神大社」が特別視されました。
中世にかけて定着したのが、旧令制国ごとに最も格式の高い神社を定めた「一宮(いちのみや)」の制度です。武蔵国の一宮である氷川神社、相模国の鶴岡八幡宮や寒川神社、山城国の賀茂別雷神社(上賀茂神社)・賀茂御祖神社(下鴨神社)など、地域統治の精神的拠点として尊崇を集めました。
また、民間に広まった信仰系統ごとに「全国の親玉」となる総本社(総本宮)が存在します。
- 八幡信仰(全国約4万4000社):総本社は宇佐神宮(大分県宇佐市)。石清水八幡宮・鶴岡八幡宮とともに「日本三大八幡」を形成。
- 稲荷信仰(全国約3万社):総本社は伏見稲荷大社(京都府京都市)。
- 天神信仰(全国約1万社):総本社は太宰府天満宮(福岡県太宰府市)および北野天満宮(京都府京都市)。学問の神様として菅原道真を祀る。
- 浅間信仰(全国約1300社):総本社は富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)。富士山そのものを神体山とする。
なお、民間伝承で語られる「日本三大神社」には明確な公式定義がありません。一般的には「伊勢神宮・出雲大社・熱田神宮」を指す説が流布していますが、国家祭祀の文脈では皇室の祖先を祀る「伊勢神宮・石清水八幡宮・賀茂神社(上下社)」を指すなど、文脈によって対象が異なります。