コンパスがない状況下でも、身の回りにある道具を論理的に使えば、円の中心の求め方は極めて明快です。現場で即座に役立つ3大手法について、幾何学的な根拠を交えて手順を解説します。
手順1:直角三角形タレスの定理を利用する(ノートの角や三角定規)
最も手軽で間違いが起きにくいのが、中学数学で学ぶ「半円の弧に対する円周角は90度である」という直角三角形タレスの定理を逆利用した方法です。用意するものは、コピー用紙の角やノートの端など、正確な直角(90度)を持つ四角い紙1枚とペンだけです。
まず、円の円周上の任意の点に紙の直角の角をぴったり合わせます。その状態で、直角を挟む2つの辺が円周と交わる2つの交点にペンで印をつけます。この2点を結ぶ直線は、定理の証明通り必ず「円の直径」になります。続いて、紙を少し回転させて別の位置で同じ作業を行い、もう1本の直径を引きます。この2本の直径が交差した交点こそが、求める円の中心です。
手順2:定規だけで引く「平行弦と対角線の交差法」
手元に直角を出せるものがなく、目盛りのない棒や直定規しかない場面で威力を発揮するのが、平行線を用いた定規だけ円の中心を割り出す裏ワザです。
まず、円の中に平行な2本の直線を適当な長さで引きます(直定規の両端をそのままなぞれば簡単に正確な平行線が引けます)。この2本の直線が円と交わる4つの点を順にA、B、C、Dとします。点Aと点D、点Bと点Cをたすき掛けするように斜めに結び、その対角線の交点を求めます。この交点を通る垂直なライン上に中心が存在するため、もう一組の平行線を直交するように引いて同じ交差を行えば、中心点が寸分の狂いもなく浮かび上がります。
手順3:伝統の王道「弦の垂直二等分線作図」
製図やCADの基礎であり、円の一部が欠けている場合にも通用する最も普遍的な解法が弦の垂直二等分線を用いる方法です。円周上の離れた2点を結んだ直線を「弦」と呼びますが、数学的に「任意の弦の垂直二等分線は、必ずその円の中心を通る」という絶対法則があります。
円周上に適当な間隔で弦を2本引き、それぞれの弦の真ん中(中点)から直角に立ち上がる線を引きます。定規の目盛りで中点を測り、三角定規で垂直線を立ち上げるだけで、中学数学円の作図の基本通りに2本の垂直二等分線が交わったポイントが中心となります。