阿佐ヶ谷駅から南へ歩みを進め、住宅街の路地に入ると、かつて画面越しに幾度となく目にしたあの2階建て木造アパートが静かに佇んでいます。結論から言えば、むつみ荘は現在も取り壊されることなく現存しています。
築50年をゆうに超える外壁の質感や、共同玄関から2階へと続く急な外階段、かつて春日俊彰が顔を出していた201号室の窓枠など、基本的な外観構造は当時の面影を色濃く残したままです。周辺の住宅地では築浅のアパートや戸建て住宅への建て替えが目立つ中、この一角だけが昭和後期の空気を色濃く留めています。
かつては番組のロケやドッキリ企画で頻繁にテレビカメラが入り、深夜ラジオ『オードリーのオールナイトニッポン』のリスナー(通称・リトルトゥース)が遠巻きに眺める姿も見られました。しかし現在では、メディアの過度な露出は落ち着きを取り戻し、街の風景の一部として静寂の中に溶け込んでいます。建物内には現在も生活を営む一般の入居者がおり、無遠慮な観光地ではなく、あくまで日々の営みが続く居住空間であることが確認できます。