インターネット上の宿泊レビューやSNSの投稿を分析すると、氷サービスをめぐるトラブルや不満の声は想像以上に頻出しています。特に目立つのが「飲料の持ち込み」と「保冷剤の冷凍対応」に関する摩擦です。
旅行者の投稿では「部屋でお酒を飲もうとフロントに氷を頼んだら550円請求され、ビジネスホテルなら無料なのに驚いた」「氷を頼んだ際、外から持ち込んだウイスキーの瓶が見えてスタッフの表情が硬くなった」といった体験談が散見されます。一方で、「冷水ポットとともにたっぷり氷の入ったアイスペールを夜食時に用意してくれて感動した」という好意的な評価もあり、宿のスタンスによって体験が激変することが分かります。
現場の旅館関係者が頭を抱えているのが、市販アルコールの過度な持ち込みに伴う氷の無制限要求です。旅館の収益構造において、食事処や部屋付けで注文される飲料の利益率は客室稼働を支える生命線です。コンビニエンスストアで購入した大容量の焼酎やウイスキーを持ち込み、宿側の無料サービスである氷やグラス、炭酸水を際限なく要求する宿泊客が増えた結果、防衛策として氷を有料化せざるを得なくなった宿が少なくありません。
もう一つのトラブルの火種が、クーラーボックス用保冷剤の冷凍依頼です。観光地で海産物や生菓子を購入した宿泊客や、翌日にゴルフや釣りへ向かう宿泊客が「保冷剤を翌朝まで宿の冷凍庫で凍らせてほしい」と依頼するケースが多発しています。しかし、旅館の厨房にある冷凍庫は食品衛生法に基づき厳格に管理されており、外部から持ち込まれた私物を食品と同じ保管庫へ入れることは衛生管理基準(HACCP)の観点から固く禁じられているケースが一般的です。この事情を知らない利用者が「融通が利かない」と低評価をつける構造的なギャップが生じています。