インターネット上の掲示板やSNSでは、郵便貯金の手続きに関して不正確な情報や古い体験談が錯綜している。現場の取材から判明した代表的な誤解を是正する。
誤解1:「緑のカードは使えないから捨てて新規口座を作った方が早い」
これは明らかな悪手である。旧カードを破棄してしまうと「切替」ではなく「紛失再発行」の扱いになり、余計な手数料が発生する恐れがある。さらに、ゆうちょ銀行を含む金融機関は現在、マネー・ローンダリング防止の観点から「1人1口座」の原則を徹底している。既に眠っている旧口座が存在する場合、既存口座を解約または統合しない限り、安易な新規口座開設は原則として断られる。
誤解2:「通帳の繰越とカード更新はATMですべて完結する」
ATMで対応できるのは旧郵便貯金 通帳の繰越(磁気データが正常で新通帳へページ更新できる場合)の一部のみだ。磁気不良を起こしているキャッシュカードのIC化や、氏名変更・印鑑変更を伴う手続きはATM単体では完結しない。特に「ぱ・る・る」時代の古い通帳はATMの規格に合わず読み取りエラーになるケースが多いため、窓口での一括更新が確実である。
誤解3:「アプリを入れればカードなしで今すぐ全額動かせる」
スマートフォンから残高照会や送金ができるゆうちょダイレクトの申込みや「ゆうちょ通帳アプリ」の登録には、生体認証やキャッシュカードの暗証番号認証が必須となる。手元の旧カードが暗証番号ロック状態であったり、登録電話番号が昔の固定電話のままであったりする場合、アプリからのオンライン認証自体が弾かれてしまう。デジタル化を進める前提としても、まずは物理カードと口座情報の正常化が先決だ。