韓国・光州事件とは?死者数と映画『タクシー運転手』の真相を解説

韓国・光州事件とは?死者数と映画『タクシー運転手』の真相を解説

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光州事件の現場で何が起きていたのかを知る手がかりは、単なる歴史公文書にとどまりません。当時現場にいた市民や生存者たちの生の手記、そして市民軍に参加した若者たちの証言には、映画のスクリーンすら捉えきれなかった凄惨と連帯の双面が記録されています。

当時、全南大学病院の看護師として救護にあたった女性は、手記のなかで次のように振り返っています。「担架で運ばれてくる若者たちの頭部は原形をとどめておらず、銃創からは絶え間なく血が吹き出していました。ガーゼも包帯もすぐに尽き、血の海となった床を拭うことすらできませんでした。しかし、街内放送で献血を呼びかけると、砲火をくぐり抜けて数百人の市民、中学生や売春街の女性たちまでが列を作ったのです」。

戒厳軍によって外部への物流が完全に遮断された極限状態において、光州市民が見せた行動は犯罪学や社会学の定説を覆すものでした。市内の銀行や宝石店は一件も略奪されず、市場の商人たちは米を持ち寄っておにぎり(チュモクパプ)を握り、市民軍に無償で配給し続けました。映画『光州5・18』(2007年)や『ペパーミント・キャンディー』(1999年)などの傑作でも描かれたように、戒厳軍兵士の側にも葛藤や上官命令への恐怖があった一方で、前線に投入された特殊部隊兵士たちには「暴徒を殲滅せよ」「アカ(共産主義者)を容赦するな」という激しい敵対洗脳が施されていたことが生存兵士の口から明かされています。

ネット上のコミュニティやSNS上では、「なぜ正規軍が自国の市民をここまで残酷に攻撃できたのか」という疑問が今なお頻繁に投げかけられます。その背景には、軍部による徹底した情報隔離と、過酷な軍事教練によって兵士の共感能力を麻痺させる組織的なマインドコントロールが存在していました。

伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。