ドジャース公式インスタグラムが世界中のタイムラインを席巻している背景には、単なる「人気選手の加入」にとどまらない、周到に計算されたデジタルマーケティング戦略が存在します。メジャーリーグ(MLB)の各球団がSNS運用にしのぎを削るなか、ドジャースが群を抜くエンゲージメントを叩き出している最大の要因は、「公式アカウント投稿理由の多層化」にあります。
かつての球団広報といえば、試合結果のスコアボード画像やロースターの入れ替え告知、監督の公式会見コメントの抜粋といった形式的な情報発信が主流でした。しかし現在のドジャースメディア部門は、複数のフォトグラファーや映像クリエイターをチームに完全密着させ、「映画のような質感で切り取る人間ドラマ」を届ける体制へと舵を切っています。選手がクラブハウスでエスプレッソを片手に談笑する瞬間、遠征用のチャーター機に乗り込む私服スタイル、試合直前の極限の集中力といった、報道陣のテレビカメラが立ち入れないサンクチュアリの映像が次々と供給されます。
このアプローチについて、米スポーツビジネス関係者は「ファンが見たいのは単なるスタッツではなく、超一流アスリートたちの息遣いや人間関係そのもの。ドジャースは自前で高品質なリアリティ・ドキュメンタリーを制作し、Instagramというプラットフォームに最適化して無料配信している」と分析しています。この戦略が日本人スター選手の加入によって世界規模で爆発し、現在の社会現象ともいえる盛り上がりを形成しました。