金子貴俊の足跡を振り返る上で欠かせないのが、2001年公開の映画『ウォーターボーイズ』です。妻夫木聡や玉木宏らと共演し、シンクロナイズドスイミングに挑む男子高校生の中で、フェミニンで心優しい「早乙女役」を演じきり、日本アカデミー賞新人俳優賞に輝きました。この時の演技力があまりに高かったため、初期のバラエティ界では「気弱でフェミニンな愛されキャラ」としての需要が殺到することになります。
しかし、30代を迎えた彼を待ち受けていたのは、過酷を極めるロケバラエティへの抜擢でした。日本テレビ系『世界の果てまでイッテQ!』の「登山部」企画では、マッターホルンやモンブランといった名峰に挑み、極限状態での精神力と驚異的な体力を証明。「オーシャンズ金子」シリーズを含め、過酷な自然に対峙する彼の姿は、かつての軟弱なイメージを完全に覆しました。
さらに特筆すべきは、NHK Eテレの長寿子ども番組『ビットワールド』への出演です。約19年間にわたりレギュラーを務め上げ、2020年代半ばの卒業時には、親子二代にわたる視聴者から感謝と惜別の声がSNS上に溢れ返りました。単なる一発屋タレントに終わらず、教育番組から山岳ドキュメンタリーまで幅広いジャンルで息長く愛された理由が、ここに集約されています。