熊谷史氏は、ライブドアの前身である「オン・ザ・エッヂ」の成長期に合流した元取締役です。慶應義塾大学を卒業後、証券・金融分野での専門知識を武器に、若きITベンチャーだった同社のファイナンス部門を牽引しました。
当時、代表取締役社長だった堀江貴文氏がカリスマ的なビジョンを掲げてメディアを席巻する一方、取締役最高財務責任者(CFO)の宮内亮治氏とともに、複雑なM&A(企業の合併・買収)や資金調達の実務を冷徹に構築していたのが熊谷氏でした。彼のキャリアは、まさに平成のネットバブルを象徴するスピード感で頂点へと駆け上がっていきました。
しかし、その高い専門性が裏目に出る形となったのが2006年の事件です。熊谷氏は、マネーライフ社やロイヤル信販の買収劇において、投資事業組合を介した自社株売却益の不正還流スキームを設計・実行した中心人物として東京地検特捜部に逮捕されました。華々しい財務のプロフェッショナルから一転、日本中から激しいバッシングを浴びる被告人へと転落した瞬間でした。