なぜ就寝中に重症化してしまうのでしょうか。その最大の理由は、「睡眠中は水分補給ができず、さらにコップ1〜2杯分の汗をかいて脱水が進むため」です。
すでに熱中症の初期症状(めまい、立ちくらみ、軽い頭痛など)が出ている人は、体内の水分保持能力が低下しています。その状態のまま眠りにつくと、以下のような致命的なサイクルに陥ります。
第一に、就寝中は喉の渇きを自覚して自発的に水分を摂ることができません。第二に、睡眠中は「単に深く眠っているのか」それとも「熱中症の進行による意識障害(昏睡)に陥っているのか」を本人も周囲も判別しにくくなります。その結果、家族が朝起こしに行ったときにはすでに意識がなく、多臓器不全や脳症を伴う最重症(III度)に達していたという悲惨な事例が毎年報告されています。
また、就寝時の室温管理を怠り、エアコンを切って寝ることで発症する「夜間熱中症」にも厳重な警戒が必要です。夜間であっても室温が28度以上、湿度が60%を超える室内は熱がこもりやすく、寝ている間に体温が上昇し続けて命の危険に直結します。