谷崎潤一郎の不朽の名作をバブル崩壊後の現代へと大胆に翻案したプレミアムドラマ『平成細雪』。中山美穂が演じた蒔岡家の長女・鶴子は、旧家の誇りと時代の波に翻弄される名門の長女としての葛藤を抱えた難役だった。
着物を優雅に着こなし、京都や船場の上流階級の気品を漂わせながらも、内面に潜む狂おしいまでのプライドと脆さを繊細に表現した演技は圧巻の一言に尽きる。きらびやかな映像美の中で、中山美穂という女優が持つクラシカルな美貌と重厚な存在感が完全に調和していた。日本放送協会が誇る徹底的な美術セットや演出力に見事に応え、大人の女優としての風格を決定づけた一作だ。