小山慶一郎のキャスター人生を語る上で欠かせない存在が、当時日本テレビ ニュースエブリィのメインキャスターを務めていた藤井貴彦アナウンサー(現フリーアナウンサー)です。2010年の番組立ち上げ当初、右も左も分からぬアイドルであった小山を厳しく、かつ愛情深く指導し、ニュース原稿の読み方から現場取材の心構えに至るまで徹底的に鍛え上げた師弟関係にありました。
その絆の深さが世間の涙と議論を呼んだのが、前述した2018年6月7日の生放送です。隣で深々と頭を下げる小山の謝罪を見届けた後、藤井アナはカメラを真っ直ぐ見据え、震える声を抑えながら次のように言葉を紡ぎました。
「身内をかばうように聞こえるかもしれませんが、無駄にしてはいけない時間があります。今日のこの反省を言葉だけに終わらせず、これからの生き方で示してほしい」
身内の不祥事として厳しく断罪しながらも、再生への道を願う藤井アナのこの言葉は、テレビ報道史に残る名場面として現在も語り継がれています。関係者の証言によると、藤井アナは番組終了後の反省室でも小山に対し、「報道に関わる人間としての自覚」について涙ながらに説いたとされています。
そして2018年12月の正式降板時、藤井アナによって代読されたnews every 降板 コメントには、小山の偽らざる無念と責任感が刻まれていました。「今回の件で多くの方にご迷惑と不信感を与えてしまい、キャスターとして報道番組に出演し続けることはふさわしくないと判断いたしました」という文面を読み終えた後、藤井アナは「小山さんには、今回の挫折をこれからの人生の糧にしてほしいと思います」と温かく締めくくり、盟友の旅立ちを見送ったのです。