小泉今日子の過去に関しては、インターネット上の掲示板やSNSを中心に幾つかの過激な噂が囁かれてきました。その代表例が「家族を憎んで完全に絶縁した」「父親が夜逃げして行方知れずのまま孤独死した」といった極端な言説です。しかし、公の取材記録や本人の告白を精査すると、現実ははるかに人間味に満ちたものでした。
第一に、父親に対する感情は「憎悪」ではなく「切なさと受容」でした。父親は不器用ながらも家族を愛していた人物であり、事業に失敗したことでプライドを打ち砕かれ、家族の前に顔を出せなくなってしまったという背景を、大人になった小泉今日子は深く理解していました。後年、彼女は父親と再会を果たし、晩年の父親を経済的にも精神的にも温かく見守り、最期を看取っています。
第二に、姉たちとの家族関係です。3人姉妹の結束は固く、長姉や次姉とは大人になってからも交流を続けていました。長姉が病に倒れた際には献身的に寄り添い、その死を悼むエッセイを残すなど、家族がバラバラになったからこそ、大人同士としての尊重に基づいた温かな絆を再構築していたのが真実です。「一家離散=家族の断絶」という紋切り型の推測は、彼女たちの実態とは大きくかけ離れています。