インターネット上の健康情報や動画サイトでは、「腹筋・背筋を鍛えて天然のコルセットを作れば狭窄症は完治する」といった極端な言説が散見されます。しかし、高齢者の脊柱管狭窄症において、強い負荷を伴う筋力トレーニングは極めてハイリスクです。
多くの高齢者は加齢により腰椎の可動域が低下しており、無理に腹筋運動(上体起こし)を行おうとすると、股関節の腸腰筋ばかりが過剰に緊張し、結果として骨盤を前傾させて腰椎の反りを強めてしまいます。また、加齢による骨粗鬆症を合併している場合、激しい筋トレが椎体骨折(圧迫骨折)の引き金になる危険性も否定できません。
高齢者が維持すべきなのは、アウターマッスルの筋力よりも、「骨盤を正しい位置に保つための柔軟性」と「姿勢を支える最小限のインナーマッスル」です。重いウェイトを使ったり回数を競ったりする筋トレは一切不要であり、日常の軽い歩行や前述のストレッチで筋肉の柔軟性を保つことこそが最も合理的です。