「知る」の敬語を運用する際、多くの人が混同するのが「承知いたしました」や「かしこまりました」との境界線です。どちらも指示や情報を耳にした際に発せられますが、言葉が担うコミュニケーション上の機能は根本から異なります。
承知いたしましたとの使い分け詳細まとめとして整理すると、「承知いたしました」は相手からの依頼・指示・連絡を「引き受けた、理解した」という【受諾・同意】の表明です。一方、「存じております」は、対象となる情報を前もって「頭の中に持っている」という【既知の状態】を指します。
たとえば、上司や取引先から「来週の仕様変更の件、確認しておいてください」と言われた場合、その指示に従う旨を伝える返答は「承知いたしました」が正解です。ここで「存じております」と返すと、「そんなことは以前から知っています」という尊大なニュアンスが混入し、相手の心証を害する恐れがあります。
反対に、「来週の仕様変更の件は耳に入っていますか?」と事前の知識の有無を問われた際には、「はい、すでに存じております」と答えるのが正確です。受諾の返信なのか、予備知識の有無の回答なのかを自問することで、両者の混同は完全に防ぐことができます。