ネット上の事前予想やファンの間では「東京駅や銀座を走るのだから平坦で走りやすいはずだ」という言説が散見されました。しかし、現場取材で浮き彫りになったのは、ビル街特有の微気候と世界陸上マラソン気象条件と気温対策の難しさです。
9月中旬の東京は、秋の気配が混じる一方で日照による急激な路面温度上昇や高い湿度が残る時期です。特に日本橋から銀座、秋葉原にかけての高層ビル群に囲まれたストレートでは、風が遮断されて熱気が滞留する「無風のヒートポケット」が発生しやすい環境にありました。
アスファルトからの強い輻射熱と高い湿度は、ランナーの深部体温を急速に上昇させます。これに対し、大会側は給水ポイントの増設やミスティング装置の導入など徹底した対策を講じました。また、沿道に詰めかけた観衆に向けても、自治体や関係機関が暑さ対策を積極的に展開しました。中央区観光情報センターが1階のPRスペースを沿道観戦者向けの「一時休憩・避暑スペース」として開放した事例などは、都市型大規模スポーツイベントにおける先進的なホスピタリティとして高い評価を集めました。