大学からの案内状に記載されている「当日は平服でお越しください」「服装自由」という一節を文字通りに受け取って私服(カジュアルウェア)で参列し、会場で激しい孤立感を味わったというトラブルも定期的に報告されます。
式典案内における「服装自由の真相」とは、ジーンズやTシャツを許容するという意味ではなく、「礼服・正装・アカデミックガウン・スーツ・民族衣装など、式典の品位を損なわない範囲で個人の文化的背景や経済的都合に応じた選択を認める」というフォーマル規律上のレトリック(修辞)です。京都大学のように一部の例外的な仮装文化が伝統化している特殊なケースを除き、一般的な総合大学においてカジュアル私服での参列は明確な悪目立ちを招きます。
この服装格差や過度な衣装費用のインフレを緩和する装置として再評価されているのが、大学卒業式におけるアカデミックガウン着用経緯です。中世ヨーロッパの修道士の衣服に起源を持つガウンと角帽は、欧米の高等教育機関において「学問を修めた証」として定着してきました。日本の大学でも、東京大学や早稲田大学、国際基督教大学(ICU)などを筆頭に、公式ガウンの貸与・導入が進んでいます。ガウンの下に着る衣服の自由度が高く、経済的な負担や着付けの手間を大幅に軽減できる合理的な正装として、今後の定着が注目されています。