通夜や葬儀に持参する香典袋(御霊前)にお金を収める際、最もやってはいけない致命的なミスが「お札の肖像画を表側(正面)に向けて入れること」です。慶事(結婚祝いなど)では「慶びを顔いっぱいに表す」「運気を開く」という意味を込めて肖像画を表に向け、封筒を開けた瞬間に顔が最初に見えるように上向きに揃えるのが決まりです。これに対し、弔事では正反対の作法が厳格に求められます。
香典袋における肖像画の向きの裏表には、「顔を伏せて深い悲しみに暮れる」「突然の別れに顔を上げられない」という参列者の痛切な弔意が投影されています。お札の表面(肖像が描かれている面)を中袋の裏側(住所や金額を書く側)に向け、肖像が見えないように封入することが、言葉を超えたお悔やみの表現となるのです。
さらに重要なのが「上下の配置」です。お札を引き出した際に肖像画が最初に出てくるのではなく、肖像画が袋の「底側(下側)」に位置するように入れます。これには「悲しみに沈む」「不幸がこれ以上重ならないよう底に留める」という意味が込められており、裏表と上下の双方が揃って初めて礼儀に適った形となります。