川口オートレースで「今日のレース予想」を組み立てる際、ファンが最初に目を通すのが公式出走表と直前に発表される試走タイムです。しかし、ベテランの勝負師ほど「試走タイムの額面通りには買わない」という鉄則を徹底しています。なぜなら、オートレースには選手個人の走法特性やマシンの癖に起因する試走偏差(競走タイムから試走タイムを引いた数値)が存在するからです。
例えば、試走タイムが「3.31」と抜けて優秀であっても、試走偏差が「0.09」と大きい選手の実質タイムは「3.40」前後になります。一方で、試走が「3.34」と平凡に見える選手でも、混戦に強く試走偏差が「0.04」と極小であれば、レースでの実質スピードは「3.38」となり、後者が本番で前者を捌き切る逆転現象が頻繁に起こります。出走表を読み解く際は、過去の競走タイムと試走タイムのギャップを必ず差し引き、コース上の「実効速度」を導き出さなければなりません。
さらに、決定打となるのが0〜10メートルのスタート攻防です。川口のオーバルコース(1周500m)は直線が比較的短く、第1コーナーへの進入角度がタイトな設計となっています。そのため、同ハンデ線に並ぶ選手同士の「枠主張力」と「ダッシュ力」の差が序盤の隊列を9割方決定付けます。当たる買い目を導き出すプロの定石は、スタート巧者が1角を先頭で抜けると想定される展開において、その選手の背後を追走できる2番手選手を2着・3着に固定するフォーメーションです。人気選手のネームバリューに惑わされず、1周目の隊列をどれだけ正確に可視化できるかが勝負の核心と言えます。