経鼻経管栄養で余命はどう変わる?胃ろうとの違いと後悔しない選択肢

経鼻経管栄養で余命はどう変わる?胃ろうとの違いと後悔しない選択肢

経鼻経管栄養で余命はどう変わる?胃ろうとの違いと後悔しない選択肢とは一体何なのか? 専門的な分析を簡潔に解説します。

インターネット上の相談掲示板やSNSでは、「口から食べると誤嚥して肺炎になるから、鼻から管を入れた方が安全」という言説が頻繁に散見されます。しかし、呼吸器病学および老年医学の観点から言えば、これは明確な誤解です。

経鼻経管栄養を行っていても、誤嚥性肺炎のリスクは決してゼロにはなりません。それどころか、以下の2つの生理学的理由によって、むしろ誤嚥のリスクが助長されることさえあります。

第1に、鼻から食道、胃へと常時チューブが貫通していることで、下部食道括約筋が完全に閉じなくなり、胃液や注入された経管栄養剤の逆流が起きやすくなります。寝たきりの高齢者が夜間にこの逆流物を気管に吸い込み、重篤な誤嚥性肺炎を引き起こす事故は日常茶飯事です。

第2に、嚥下反射が衰えた終末期患者における肺炎の主原因は、食べ物ではなく口腔内に繁殖した細菌を含む「唾液の不顕性誤嚥」です。鼻にチューブが入っている違和感から唾液の分泌量が増加し、それを自力で飲み込めずに気管へ垂れ流してしまうことで、肺の炎症を繰り返します。

「肺炎を防ぐための経鼻栄養」が、皮肉にも難治性の誤嚥性肺炎を誘発し、結果として抗生剤治療の限界を迎えて命を落とすケースは後を絶ちません。栄養チューブは肺炎を防ぐ魔法の盾ではないという客観的認識が求められます。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。