看護専門学校を選択する最大のインセンティブは、四年制大学と比較して圧倒的に学費を抑えられる点にあります。松本看護専門学校の学費・奨学金の体系は、初年度納付金が約100万〜120万円、3年間の総額で約280万〜320万円程度と、私立看護大学(4年間で650万〜800万円程度)の半額以下に設定されていました。
さらに、多くの学生が利用していたのが医療法人や公立病院が提供する「病院奨学金(修学資金貸与制度)」です。これは月額5万〜8万円程度が無利息で貸与され、卒業後に指定の病院で一定期間(貸与期間と同等の3〜5年間)勤務することで返還が全額免除される仕組みです。
しかし、この制度には現場目線で見逃せない盲点が存在します。「お礼奉公」とも呼ばれる返還免除規定の縛りにより、万が一就業した病棟の労働環境が合わなかったり、体調を崩して早期退職を余儀なくされたりした場合、数百万円にのぼる貸与金の一括返還を迫られるというリスクを孕んでいました。経済的負担をゼロに近づける恩恵がある半面、キャリアの自由度を一定期間差し出す契約であったという事実は、進路選択において深く認識しておくべき教訓です。