全館空調の光熱費を分析する上で外せないのが、夏と冬の圧倒的な消費エネルギー格差です。
冷房を多用する夏場は、外気温35℃に対して室内を26℃に冷やす場合、その温度差は約9℃です。対して冬場は、外気温0℃前後の環境から室内全体を22℃前後まで温め続ける必要があり、20℃以上の温度差を埋めなければなりません。エアコンやヒートポンプ機器は内外の温度差が大きいほど強い負荷がかかるため、冬の電気代は夏の1.5倍から2倍近くまで跳ね上がります。
では、なぜ「全館空調は高すぎる」という強い不満が生まれるのでしょうか。その理由は主に3つ存在します。
第1に、建物の断熱・気密性能のミスマッチです。UA値(外皮平均熱貫流率)やC値(相当隙間面積)が不十分な住宅に全館空調を入れると、温めた空気が逃げ続け、機器が常に最大出力で稼働し続けます。
第2に、間取りと吹き抜けの設計です。大開口のリビングや天井高のある空間で気流制御がうまくいかない場合、暖房効率が著しく低下します。
第3に、過剰な加湿・温度設定です。冬場に24℃以上の高めの室温設定を維持したり、気化式加湿器をフル回転させたりすることで、想定以上の電力を消費してしまう落とし穴があります。