歩行時に生じる靴の偏摩耗は、単一の原因で起こるのではない。足元から骨盤、さらには背骨に至る連鎖的な運動の狂いが重なった結果として靴底に刻まれる。現場の理学療法士や足病専門医の分析から見えてきた、3つの主要な原因を整理する。
第一の要因は、足首の回外とスピネーション(外返し)だ。本来、足部には着地時の衝撃を吸収するために内側へ適度にしなる「回内運動」が備わっている。しかし、足の甲が高く土踏まずのアーチが硬直しているハイアーチ傾向の人や、足首関節の外側靭帯が硬い人は、足首が外側に傾いたままロックされる。衝撃を足の外周で直に受け止めるため、靴底の外側側面が集中的に摩耗していく。
第二の要因として、ガニ股歩きと重心移動の破綻が挙げられる。歩行の理想的なプロセスは、かかと中央やや外側で着地した後、重心が足裏の外側を通り、最終的に親指の母趾球へ抜けて力強く地面を蹴り出す。ところが、股関節が外側に開いたガニ股歩きが定着していると、重心が母趾球に移動せず、小指側の外側ラインだけで着地から蹴り出しまでを完結させてしまう。足指が浮いた「浮き指」状態も、この外側荷重に拍車をかける。
第三に見落とせないのが、片方だけ靴の外側が減る原因だ。左右均等ではなく片足だけが著しく斜めに削れるケースでは、日常の姿勢習慣による骨盤の回旋や左右の傾きが疑われる。「いつも同じ側の肩に重いバッグを掛ける」「足を組む癖がある」「片足に重心を預けて立つ」といった日常のアンバランスが、骨盤の傾斜を生み出す。さらに、過去に足首を激しく捻挫した経験がある足は関節の可動域が狭まり、それを無意識にかばうことで片足の外側ばかりに過度な摩擦が生じるのである。