大腸がんに起因する大腸がん腰痛の特徴として、多くの患者が口を揃えるのが「奥深くが重苦しく締め付けられるような鈍痛」です。ぎっくり腰のように突然激痛が走るケースは稀で、最初は違和感程度だった重だるさが、数週間から数カ月かけて徐々に強まり、休んでも引かなくなるという経過をたどります。
最大の手がかりとなるのが安静時痛の原因と理由です。筋肉や骨格の異常であれば、横になったり楽な姿勢をとったりすることで痛みが軽快するのが一般的です。対して、大腸がんが原因となる痛みは、内臓の神経を介して背中側へ痛みが投影される「関連痛」や、腫瘍が腸壁を突き破って背中側の後腹膜や神経叢に直接浸潤することで生じます。姿勢を変えても患部の物理的な圧迫や炎症が消えないため、横になっても痛みが和らがず、深夜や明け方にズキズキと深く痛むがん性疼痛の真相がここにあります。
大腸の解剖学的構造も痛みの出方に直結します。盲腸や上行結腸、下行結腸、直腸の一部は後腹膜という背側の壁に固定されており、腰を支える大腰筋や坐骨神経の根元に近接しています。この部位に生じた病変が深部へ進展すると、お腹の症状よりも先に「右腰の鈍痛」「左腰の張り」「臀部から太ももにかけての放散痛」として現れることが臨床上確認されています。