日本の家紋において「菱紋」は非常に多くのバリエーションを持ちます。中でも歴史ファンや家系研究者の間でよく比較されるのが、同じ甲斐源氏をルーツとする武田菱と三階菱の違いです。
甲斐源氏の嫡流となった武田家は、1つの大きな菱形を十字に4分割した「四つ割り菱(武田菱)」を用いました。これに対し、庶流である小笠原家は菱形を縦に3段重ねた「三階菱」を採用しています。同族でありながら、意匠の違いによって明確に系統を分けた好例です。
菱紋には他にも多彩なバリエーションが存在します。
・松皮菱(まつかわびし):上下の菱が中央の大きな菱に隠れるように重なり、松の樹皮に似た形状を持つ紋。名門武家が好んだ優美な意匠です。
・重ね三階菱(かさねさんかいびし):3つの菱形が少しずつ重なり合って配置された立体感のある紋。
・丸に三階菱(まるにさんかいびし):三階菱を円(丸)で囲んだ意匠。江戸時代以降、本家と分家を区別するためや、庶民が家紋を持つようになった際に広く普及しました。
これらの違いを知ることで、家紋が持つ独自の意味や一族の枝分かれの歴史をより深く読み解くことができます。