実は、もともとの中国語表記は「猫熊(マオシアン)」、つまり「猫のような熊」でした。ではなぜ、現代では「熊猫」と順序がひっくり返ってしまったのでしょうか。
話は20世紀半ばの中国に遡ります。当時の中国では、伝統的な「右から左への縦書き・横書き」から、欧米風の「左から右への横書き」へと文字の表記ルールが移行している最中でした。四川省の博物館で「猫熊」と右から左へ書かれた標本ラベルを展覧した際、左から右へ読むことに慣れ始めた来場者たちが「熊猫(シアンマオ)」と読み間違えてしまったのです。
このニュースや評判がそのまま新聞などのメディアを通じて広まり、気づいたときには「熊猫」という呼び名が定着してしまいました。まさに時代と言語の変革期が生んだ、世紀の読み間違いエピソードと言えます。