各地の現場を取材すると、土用餅に対する受け止め方や購買層の広がりが如実に浮き彫りになります。
土用餅の代表格として全国的に名高いのが、三重県伊勢市の銘菓「赤福」です。赤福では毎年、夏の土用入りに合わせて特別パッケージの「土用餅」を直営店や百貨店などで数量限定販売しており、朝から整理券を求める長い行列ができるのが恒例となっています。実店舗を訪れた利用者の声を聞くと、「普段の赤福餅も好きだが、土用入りの日に食べる特別仕様の土用餅は家族全員の健康祈願行事になっている」といった熱心な声が多く聞かれます。
一方で、近年の大きな変化はコンビニ各社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)や大手スーパーでの定着です。チルド和菓子コーナーに「土用餅(あんころ餅)」が並ぶようになり、SNS上でも「鰻は高くて手が出ないけれど、コンビニの土用餅で丑の日気分を味わった」「甘さ控えめで疲れた体に染み渡る」といった投稿が急増しています。伝統的な儀礼食が、忙しい現代人のリフレッシュスイーツとして身近な存在へとアップデートされている様子が伺えます。