近年の取材によって入手された晩年の看護記録や、最側近が書き残していた未公開の手記は、当時の凄惨な現場の空気を生々しく伝えている。安岡の邸宅に足繁く通い、周囲の警戒を潜り抜けて晩年の安岡の身の回りを世話した細木の姿。そこには、圧倒的な自己プロデュース力と執着心が見て取れる。
弟子たちが「思想の聖域」を守ろうと孤軍奮闘する一方で、細木は安岡の権威とその背後にある人脈に深く食い込んでいった。病床で交わされた囁き、側近たちの怒号、そして極秘裏に進められた書類作成。リークされた内部資料は、権力者たちが不可侵とみなしていた老フィクサーの晩年が、いかに激しい確執と深い愛執に晒されていたかを克明に告白している。