ネット上の一部では、「『君がいるだけで』はドラマの締め切りに追われて短時間で作られた商業的な企画曲であり、米米CLUB本来のファンク路線ではない」という論調が見受けられます。しかし、これは楽曲の真の成り立ちを見誤った誤解です。
文化服装学院の学生を中心に結成された米米CLUBは、もともと演劇、コント、本格ファンク、歌謡ポップスを高度なアート感覚でミックスする総合芸術集団でした。石井竜也氏がわずか数十分でこのメロディを書き下ろしたという逸話は事実ですが、それは手抜きではなく、「無駄な計算を排除し、人間の純粋な感情を直感で抽出しきった瞬発力」の賜物でした。
さらに、BIG HORNS BEE(ホーンセクション)を率いるフラッシュ金子(金子隆博)氏をはじめとする手練れのミュージシャンたちが、モータウンやフィリー・ソウルのエッセンスを絶妙に散りばめて編曲を施しました。極限までキャッチーでありながら、ベースラインやブラスのオブリガートは驚くほど緻密に構築されているのです。単なる急ごしらえのヒット曲ではなく、バンドが培ってきた音楽的教養が凝縮されたからこその大成功でした。