ジョースター一行がDIOの館に足を踏み入れた瞬間、内装は洋館の廊下ではなく、果てしなく広がる海や巨大な石柱が立ち並ぶ異様な異空間へと姿を変えていました。この現象を引き起こしていた元凶こそが、ケニーGの操るスタンド「テナー・サックス」です。
テナー・サックスの基本スペックは、直接的な破壊力を持たない代わりに、極めて広範囲かつ精密な「幻覚(イリュージョン)」を創り出す能力に特化しています。作中における主な能力特性は以下の通りです。
- 空間の錯覚化:壁や柱、部屋の構造そのものを覆い隠し、狭い洋館内部を無限の広がりを持つ迷宮や大自然のように誤認させる。
- 気配・実体の偽装:スタンド使い自身の姿や同行する味方の姿を風景と同化させ、潜伏状態を維持する。
- 多人数への同時作用:館内に侵入した承太郎、ジョセフ、ポルナレフ、アヴドゥル、花京院、イギーの全員の視覚を同時に狂わせる広域展開力。
この能力は、単体で敵を倒すためのものではなく、侵入者の方向感覚を奪って分断し、後続の強力な刺客に奇襲させる「トラップ兼バックアップ型」のスタンドでした。DIOの館という密閉空間の防衛システムとして、極めて合理的かつ厄介な能力設計がなされていたといえます。