医療や衛生の現場において、浮遊微粒子の挙動解明は急務であった。とりわけ感染症疫学の領域では、感染者が咳や会話の際に発する呼気微粒子がウイルスを長距離まで運ぶ事実が確立され、従来の飛沫対策の知見が大きく見直された。
数学的アプローチで感染経路を追う京都大学の西浦博教授らの研究は、密閉空間での感染リスクを定量的に証明した。これに呼応するように、理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」飛沫シミュレーションプロジェクトは、立体的な気流解析によって微粒子が室内をどのように拡散するかを視覚化。従来の飛沫感染対策だけでは防ぎきれないリスクの存在を世界に示した。