今宮神社のあぶり餅を語る上で欠かせないのが、その圧倒的な歴史の深さです。東参道の北側に店を構える一文字屋和輔(通称:一和)は、平安時代の長保2年(西暦1000年)創業。一条天皇の御代、都で疫病が流行した際に今宮神社へ供えられた餅を庶民に振る舞ったのが始まりとされ、「日本最古の和菓子屋」「日本最古の飲食店」として数多くの歴史書にも名を残しています。
対する南側の本家根元 かざりやも、江戸時代初期の寛永14年(1637年)創業という380年以上の歴史を誇る老舗です。千年の歴史を持つ一和に対して後発とはいえ、江戸幕府が成立して間もない頃からこの地で参拝客をもてなし続けてきました。
あぶり餅に使用される竹串は、今宮神社に奉納された斎竹(いみだけ)を削ったものが使われており、この餅をいただくこと自体が「無病息災」「厄除け」のご利益を授かる神聖な儀礼でもあります。親指大にちぎった黄な粉餅を竹串に刺し、備長炭の強火で一気に炙る調理スタイルは、両店ともに数百年以上変わらず守り抜かれています。