世界のバレーボールは、高さとパワーに絶対的優位を持つイタリア、トルコ、ブラジルといったメガパワーズが主導権を握り続けている。だが、2メートル級のアタッカーが打ち下ろす豪打を前に、ただ手をこまねいているわけではない。日本代表の首脳陣が極秘裏に磨き上げてきたのは、相手ブロッカーの視覚と反応速度を狂わせる「複数同調アタック」の深化版だ。
独自取材で見えてきたのは、アナリスト陣がタブレット端末に叩き込む膨大なトラッキングデータを基にした新戦術の存在である。セッターの手からボールが離れる瞬間、フロントとバックの計4選手が完全に同じ初速で助走に入る。ブロック陣に的を絞らせない極限のコンビネーションは、相手のディフェンスシステムを根底から狂わせる。国際バレーボール連盟のトレンド分析でも、日本の攻撃テンポは群を抜いて速いと警戒されているが、現場はさらにその上を行く戦術のアップデートを重ねている。
勝敗の分水嶺となるのは、ラリー中のハイボール(乱れたトス)処理だ。従来ならリバウンドを取って立て直していた場面で、あえて強烈なオフスピードショットやブロックの指先を狙うワイプアウトを徹底。守備から攻撃への切り替えスピードを0.1秒単位で短縮する新戦術が、世界屈指のブロックの壁を確実に切り崩し始めている。