コンクールの課題曲として広く取り上げられる『ブルグミュラー25の練習曲』と、より高度な技術と表現を要する『ブルグミュラー18の練習曲』には、それぞれ特有の落とし穴が存在する。選曲の段階からすでに勝負は始まっていると言っても過言ではない。
「アラベスク」や「貴婦人の乗馬」といった人気曲では、演奏テンポを極端に上げすぎるケースが頻発する。速さをアピールしようとするあまり、中間部の重音や左手のパッセージがつぶれ、結果として基礎技術の未熟さを審査員に露呈してしまうのだ。逆に「アヴェ・マリア」や「ゴンドラの船頭歌」のような緩徐系の楽曲では、テンポを保てずに間延びし、音楽の推進力を失ってしまう参加者が目立つ。自分の手の骨格や筋力に見合わない難曲を選ぶことも、自ら予選落ちを引き寄せる典型的な罠といえる。