刑務所において、正月は食事だけでなく生活リズムそのものが根底から変化します。大晦日から1月3日までの期間は刑務所 正月 特別日課が適用され、平日に課される工場での刑務作業(木工、印刷、金属加工、洋裁など)はすべて免除されます。
この期間における受刑者 正月の過ごし方は、居室内での自習、官本の読書、将棋や囲碁(共同室のみ)、そして事前に許可されたテレビ番組の視聴が中心となります。普段は厳しく制限されているテレビ視聴時間も大幅に延長され、民放各社の新春特番やお笑い番組、箱根駅伝中継などが房内に流れます。
そして、受刑者たちが食事以上に執着するのが刑務所 正月 おやつ(祝菓)の存在です。普段は砂糖や油脂類の摂取が徹底的にコントロールされている閉鎖空間において、正月に配給される甘味は極めて特別な価値を持ちます。
「元旦の昼、おせちの横にぽんと置かれた一個の温州みかんと、手のひらサイズのショートケーキ。あの鮮やかなオレンジ色を見た瞬間、涙が止まらなくなった。外にいた頃は見向きもしなかった安いみかんの皮を爪先で剥き、果汁の香りが鼻腔に広がったとき、自分がまだ人間であることを思い出した」(元受刑者の手記より抜粋)
別の出所者による証言でも、「みかんの白い筋まで一本残らず噛み締めて食べた」「ぜんざいの甘さに頭がクラクラした」といった告白が散見されます。外部の人間にとっては取るに足らない日常の甘味が、自由を剥奪された空間では自己の尊厳と生存感覚を呼び覚ます決定打となるのです。