毎年4月29日の「昭和の日」に聖地・日本武道館で開催される全日本柔道選手権大会。今大会の全日本柔道選手権 組み合わせ トーナメントが発表された段階から、関係者の間では「かつてない激戦ブロック」の存在が囁かれていました。100キロ超級の最重量級選手がひしめく山に、スピードと組み手の鋭さで勝負する中量級の実力者が果敢に挑みかかる構図です。
大会当日に発信された全日本柔道選手権 結果速報は、まさに日本武道館の空気そのものを物語る波乱の連続でした。過去に世界選手権や五輪で頂点を極めた有力選手が、序盤の2回戦・3回戦で伏兵の足技や捨て身技に苦杯を舐める展開が頻発。決勝戦に進出したのは、徹底して前襟を取り切る正統派柔道を貫いた実業団の若き重量級ホープと、徹底したスタミナ配分で勝ち上がった警察所属のベテラン選手でした。
勝敗を分けた決定的な要因は、残り1分を切ってからの「組み手の持久力」にありました。報道各社の取材に応じた現場審判員の一人は、「延長戦に入っても引き手を離さず、攻めの姿勢を崩さなかった執念が、審判団の心証を僅差で引き寄せた」と証言しています。全日本特有の過酷なトーナメントを勝ち抜くには、単なる筋力や体重だけでなく、相手の圧力をいなして自分の間合いを保ち続ける高度な戦術眼が不可欠であることを改めて証明しました。