インターネット上のQ&AサイトやSNSで散見される「間違ったマナー常識」について、専門家の知見からメスを入れます。
誤解①:「盛夏の候」は8月いっぱい使ってもよい?
これは明確な誤りです。「盛夏」は梅雨明けから立秋の前日までを指す語であり、立秋(8月7日頃)以降に用いると「季節の移ろいに無頓着である」とみなされます。8月7日以降は「残暑の候」「処暑の候」「晩夏の候」へ直ちに切り替える必要があります。
誤解②:句読点(、や。)をビジネスの手紙に入れてはならない?
古典的な儀礼文書(賞状や結婚式の招待状など)では「慶事を区切らない」「流れるように読ませる」目的で句読点を省く慣習があります。しかし、現代の一般的なビジネスレターやお礼状において句読点を完全に排除すると可読性が著しく低下します。現代の実務マナーでは、適度な句読点を用いて視認性を高める書き方が標準的です。
誤解③:暑中見舞い・残暑見舞いに「拝啓・敬具」は必要?
ハガキ形式の季節見舞い状では、「暑中お見舞い申し上げます」という挨拶そのものが頭語の役割を果たすため、「拝啓」「敬具」は不要です。一方、封書で便箋を用いて送るフォーマルなお礼状や手紙の場合は、通常通り「拝啓・敬具」または「謹啓・謹言」を添えるのが正式なマナーです。