「部屋を毎日きれいに掃除しているのにコバエが湧く」という疑問は、害虫対策において最も多く寄せられる相談の一つです。まず前提として理解すべきは、コバエがゴミや埃から自然発生することは生物学的に絶対にあり得ないという事実です。どこからともなく湧いて出たように見える個体も、すべて「屋外からの侵入」か「室内に持ち込まれた卵や幼虫の孵化」のどちらかを出発点としています。
コバエの成虫は体長わずか1mm〜5mm程度と極めて微小です。一般的な住宅用網戸の網目サイズ(約1.15mm〜1.4mmメッシュ)であれば、体をすり抜けて容易に室内に侵入できます。さらに、24時間換気システムの給気口、換気扇の隙間、キッチンのレンジフード、玄関ドアの開閉時、さらにはエアコンのドレンホース(排水ホース)や配管の隙間など、住宅には無数の進入経路が存在します。
加えて見落とされがちなのが、外部からの「持ち込み」です。スーパーで購入したバナナなどの果物の表面、園芸店で購入した観葉植物の培養土、あるいはネット通販で届いた段ボールの隙間に卵や幼虫が付着しており、室内の適温・適湿環境によって数日から1週間程度で一気に羽化・繁殖するケースが多発しています。わずか1匹のメスが室内に侵入しただけでも、数日で数十個から数百個の卵を産み落とすため、「急に湧いた」と感じる爆発的な増殖につながるのです。