『ドラゴン桜』シーズン1のキャスティング構造を振り返ると、当時の芸能界におけるパワーバランスと緻密なドラマ演出の意図が浮き彫りになります。
当時、長澤まさみは映画『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)の大ヒットを経て、すでに若手トップ女優の地位を確立していました。一方の新垣結衣は、女子小中学生向けファッション誌『ニコラ』のトップモデルを卒業したばかりで、本格的な連続ドラマ出演としてはキャリア初期の挑戦でした。男子生徒の筆頭格であった山下智久、女子生徒の中心であった長澤まさみに対し、新垣結衣はいわば「挑戦者」の立ち位置に置かれていたのです。
劇中における「山下智久の幼なじみ(長澤まさみ)vs 彼女(新垣結衣)」という三角関係の火花は、2人の女優としての実世界での立ち位置のコントラストとも重なり合い、画面越しに異様な緊張感とリアリティを生み出しました。報道関係者の証言や当時のドラマ批評においても、「長澤の安定した王道ヒロイン感に対し、新垣の尖ったギャル演技が見事なスパイスとして機能していた」と高く評価されています。