細木数子さんの知名度が芸能界・マスコミ界で決定的なものとなった契機の一つが、昭和を代表する大歌手・島倉千代子さんとの深い関係と金銭トラブルの解決劇でした。
1970年代後半、島倉千代子さんは知人の手形保証人になったことなどを原因に、利息を含めて総額10億円以上とも言われる天文学的な借金を背負い、破産寸前の危機に追い込まれていました。この絶体絶命の窮地に救済者として名乗りを上げたのが、当時すでに裏社会や興行界の金脈に精通していた細木数子さんでした。
細木さんは島倉さんの後見人・事実上の専属マネージャーに就任し、借金の債権整理を一手に引き受けるとともに、全国の興行やレコード制作を取り仕切って見事に借金返済の道筋をつけました。しかし、その後、興行権の取り分やレコードの版権管理を巡って二人の関係には深刻な亀裂が生じ、最終的には決別。一部週刊誌では「美談の裏にあった壮絶な利権争い」として大々的に報じられることとなりました。
この激動の人間模様の渦中に誕生したのが、後に社会現象となる「六星占術」です。細木さんは、中国古来の易学・算命学・四柱推命をベースに、人間が生まれ持つ運命のリズムを「火星人」「水星人」「木星人」「天王星人」「金星人」「土星人」の6つの運命星に分類。さらに周期的に訪れる運気の停滞期を「大殺界(だいさっかい)」と名付け、大衆にわかりやすい言葉で再構築しました。
単なる抽象的な占いにとどまらず、「銀座の修羅場で数万人の生き様を見届けてきた実体験」と「易学の論理」を融合させたことが、六星占術が圧倒的な説得力を持ち得た最大の誕生秘話と言えます。