岐阜県唯一の百貨店として47年間にわたり柳ヶ瀬の集客の要泉であり続けた岐阜高島屋の閉店(2026年7月31日)は、地域経済に小さくない衝撃を与えました。最終日のセレモニーに詰めかけた数千人の市民が見守る中、シャッターが下ろされた光景は「ひとつの時代の終焉」を強烈に印象づけました。
だが、閉店から月日が経過した現在の柳ヶ瀬を観察すると、街の機能は決して停止していません。その最大の要因が、商店街東部で先行稼働していた再開発ビル「柳ヶ瀬グラッスル35」の存在です。地上35階建て、高さ約130メートルのこのタワー複合施設には、総戸数約330戸の分譲マンションに加え、岐阜市の子育て支援施設や健康増進フロア、商業テナントが入居。これにより、かつて「買い物や歓楽のために外から訪れる街」だった柳ヶ瀬に、およそ800人規模の「日常的に暮らす住民」が定着することになりました。
百貨店が担っていた広域からのシニア富裕層の集客力は確かに減少したものの、グラッスル35と隣接する金公園のリニューアルが相乗効果を生み、ベビーカーを押す若い世代や散策を楽しむファミリー層の姿が日常の風景へと溶け込んでいます。街のエンジンは「ハレの日の消費」から「持続可能な生活・回遊空間」へと着実にバトンを渡しています。