「ベランダの床一面にカビキラーを撒いたら鳩が来なくなった」という体験談がネット上で散見されます。確かに、カビキラーの主成分である次亜塩素酸ナトリウムや独特の刺激臭に対して、鳩が匂いを嫌がる初期反応を示すケースは存在します。しかし、これは一時的な忌避反応に過ぎません。
鳩は鳥類の中でも極めて視覚と帰巣本能、そして縄張り意識が発達した生き物です。一度「安全なねぐら」や「営巣場所」として認識した空間に対しては、人間が不快に感じる程度の刺激臭が揮発した途端、何食わぬ顔で戻ってきます。屋外であるベランダは風通しが良く、カビキラーの有効成分や匂いは数時間から長くても1〜2日で消失するため、長期的な鳩対策におけるカビキラーの効果は期待できません。
また、家庭用漂白剤として知られるハイターとの差異についても理解が必要です。鳩対策におけるハイターとカビキラーの違いは、主に界面活性剤と粘性、噴射形態にあります。泡状で噴射されるカビキラーは垂直面への密着力がある反面、広い床面への散布には不向きであり、液体タイプのハイターは希釈して広範囲に撒きやすいものの、水で流せば効果は一瞬で消失します。どちらを用いても「鳩が寄り付かなくなる魔法の薬剤」にはなり得ないのが実情です。