空間の魅力もさることながら、カフェ青山文庫のメニューはそのクオリティの高さで盤石の評価を得ています。とりわけ看板料理として知られるのが、注文を受けてから一枚ずつ丁寧に焼き上げられる本格的な「ガレット」です。
そば粉特有の香ばしさを最大限に引き出した生地は、端がパリッと軽快に砕け、中心部はもっちりとした弾力を残す絶妙な火入れが施されています。定番の「コンプレット」は、上質なハム、芳醇なグリュイエールチーズ、そして半熟の卵黄が見事な三位一体を形成。フォークを入れた瞬間に広がる卵黄のとろみと、チーズのコクが重なり、カフェの軽食という枠組みを軽々と超えた一皿に仕上がっています。
スイーツ部門における不動の主役が「自家製プリン」です。近年のやわらかいトロトロ系プリンとは一線を画す、しっかりとした硬さを持つクラシックスタイル。銀色の器に鎮座し、たっぷりの生クリームとほろ苦いカラメルソースをまとった姿は、古き良き喫茶店の美意識そのものです。卵の風味が凝縮された濃密な舌触りは、深煎りのブレンド珈琲やサイフォンで淹れられたストレート珈琲との相性が計算し尽くされています。
さらに、シフォンケーキや焼き菓子、季節の果実を使った限定デザートなど、訪れるたびに新しい発見がある点もリピーターを飽きさせない理由といえます。