『ロングバケーション』が今なお色褪せない最大の理由は、山口智子さんと木村拓哉さんの間に生まれた類まれな化学反応にあります。撮影現場では監督の指示だけでなく、2人の自然なやり取りから生まれたアドリブが随所に採用されました。
特に視聴者の間で語り草となっているのが、第6話の線香花火のシーンや屋上での伝説のキスシーンです。花火に火をつけようとしながら不意に訪れる静寂の中で交わされたキスは、綿密に計算された芝居というよりも、登場人物たちの心の揺らぎがそのまま画面にこぼれ落ちたかのような生々しさを湛えていました。当時の現場関係者の証言や後のインタビューによると、段取りをガチガチに固めず、感情の導線に任せてカメラを回し続けたテイクが採用されていたといいます。
後年の特別番組や対談において、木村拓哉さんは「現場で南として生きる山口さんに、本気で惹かれていた」という趣旨の告白を残しています。嘘のない感情のやり取りがあったからこそ、視聴者は画面の2人に引き込まれました。2018年にドラマ『BG〜身辺警護人〜』で約22年ぶりの共演を果たした際にも、2人は阿吽の呼吸を披露し、当時の深い信頼関係が現在も損なわれていないことを証明しました。