青菜類を下茹でする最大の理由は、エグみや結石の原因となる「シュウ酸」の除去にあります。ほうれん草には100gあたり約800mgものシュウ酸が含まれており、生食や生のままの保存には適しません。一方で、農林水産省や日本食品標準成分表の公表データによると、小松菜に含まれるシュウ酸量はほうれん草の約数十分の一(100gあたり数十mg以下)と極めて微量です。
この植物構造上の違いこそが、小松菜を生のまま冷凍できる決定的な理由です。沸騰した湯で茹でこぼす工程を踏むと、熱に弱いビタミンCや水に溶け出しやすい葉酸、カリウムといった貴重な小松菜の栄養価が大量に湯水へ流出してしまいます。水溶性栄養素の損失試験データでは、茹で調理によってビタミンCの約40〜50%が失われるのに対し、生のまま急速凍結させた場合は80%以上の栄養素がそのまま保持されることが実証されています。
さらに、冷凍によって植物の細胞壁に適度な亀裂が入るため、組織が軟化し、加熱時に熱や味が短時間で均一に入りやすくなるという物理的メリットも生まれます。つまり、生のまま冷凍することは手抜きではなく、栄養面でも調理効率の面でも理にかなった高度な下処理技術なのです。