「以前はなかった場所に急にほくろが増えた」「少しずつ大きくなっている気がする」と感じた際、最も重要なのは良性の変化なのか、悪性腫瘍(皮膚がん)の疑いがあるのかを冷静に見極めることです。
首は日常的に紫外線にさらされやすく、シャツの襟やハイネック、ネックレスによる物理的な摩擦を日常的に受ける部位です。この慢性的な刺激や加齢、ホルモンバランスの変動によってメラノサイト(色素細胞)が活性化し、母斑細胞が増殖することがほくろの増大や新生の主因となります。
しかし、単なるほくろではなく注意すべき疾患として「メラノーマ(悪性黒色腫)」と良性イボの「アクロコルドン(スキンタッグ・軟線維腫)」が存在します。
日本皮膚科学会の診療ガイドライン等でも推奨されている国際的なメラノーマ識別基準「ABCDEルール」を把握しておくことが極めて有効です。
【メラノーマ(悪性黒色腫)のABCDEルール】
・A(Asymmetry:非対称性):中心で分けたときに左右の形が非対称である。
・B(Border:境界不正):ほくろの輪郭がギザギザ・不鮮明で、周囲にしみ出している。
・C(Color:色調の不均一):黒、茶、濃淡が混ざり合い、色ムラが目立つ。
・D(Diameter:直径の大きさ):短期間で直径6mm以上に達している。
・E(Evolving:性状の変化):急激に大きくなる、隆起する、出血や潰瘍を伴う。
一方、首回りに1〜2mm程度の肌色や薄茶色のプツプツが多発している場合は、ほくろではなく「アクロコルドン(首イボ・スキンタッグ)」であるケースが大半を占めます。これは良性の皮膚腫瘍であり悪性化の危険性はありませんが、衣類に引っかかって痛む場合や美観上の理由から処置を希望する人が多い傾向にあります。