刑法が定める主刑の中で、身体の自由を奪う刑罰を「自由刑」と呼びます。従来の日本法において、自由刑の中心を担ってきたのが懲役刑と禁錮刑です。禁錮刑と懲役刑はどっちが重いかという問いに対しては、法的な序列と実務上の定義から極めて明快な答えが存在します。
刑罰の種類と法定刑の序列を定めた刑法第10条では、重い順に「死刑 > 懲役 > 禁錮 > 罰金 > 拘留 > 科料」と明記されています。したがって、形式的にも実質的にも懲役刑のほうが禁錮刑よりも重い刑罰です。
この2つの刑罰を隔てる最大の実質的差異が、刑務作業の有無と内容の違いです。懲役刑に処された受刑者には「所定の作業(刑務作業)を行う義務」が法律上課されます。木工、印刷、洋裁、金属加工などの生産作業や、刑務所内の炊事・清掃・洗濯といった経理作業を1日約8時間行わなければなりません。
一方、禁錮刑は単に刑事施設に身柄を拘束(収監)される刑罰であり、労働の義務は一切ありません。歴史的には、政治犯や過失犯など「破廉恥性(道徳的非難に値する悪質さ)が低い犯罪」に対して、労働を強制して辱めを与えない配慮として禁錮刑が設けられたという法制史的背景があります。