「酒」の「酉」はなぜ鳥ではない?酒壺の成り立ちと歴史の真相

「酒」の「酉」はなぜ鳥ではない?酒壺の成り立ちと歴史の真相

「酒」の「酉」はなぜ鳥ではない?酒壺の成り立ちと歴史の真相についての疑問解決ガイドをご紹介します。

では、なぜ本来は酒壺であった「酉」が、十二支において鳥(鶏)を指すようになったのか。ここには古代中国における暦法と民衆教化の歴史的力学が介在している。

古代中国で誕生した十二支は、もともと動物とは何ら関係のない、植物の種まきから結実、枯死に至る生命サイクル(あるいは天体の運行)を表す12段階の記号体系であった。干支 酉 酒 関係の原点を辿ると、10番目の文字である「酉」は「丣(ゆう)」に通じ、「草木の実が熟しきって発酵し、酒ができる状態」を象徴していた。

しかし、抽象的な概念記号のままでは一般民衆が暦を覚えにくいため、紀元前後の漢代にかけて、民衆に馴染み深い12種類の動物を当てはめる「仮借(かしゃ:同音や語呂合わせによる借用)」が行われた。その際、10番目の「酉(ゆう)」の発音や象徴に近い動物として「鶏(とり)」が割り当てられたに過ぎない。

さらに、一日の時刻を表す酉の刻 酒の文化にも興味深い結びつきがある。「酉の刻」は現在の午後5時から午後7時(日没時)を指す。古代から農民や町人が一日の農作業や労働を終え、家路について晩酌を酌み交わす時間帯と見事に一致している。酒と酉の歴史 雑学として知られるこの時間の一致は、単なる偶然を超えて人々の生活リズムと深く調和している。

吉田 誠
著者

吉田 誠

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。