物語の惨劇の引き金となり、古手神社の巫女が優美に舞った「綿流し祭り」。この作中行事の明確な原型となったのが、毎年10月14日・15日に白川八幡神社をはじめ村内各神社で執り行われる白川郷どぶろく祭りと綿流しの史実です。
白川郷の「どぶろく祭り」は、古くから集落の収穫を感謝し、山神に濁酒(どぶろく)を奉納する伝統神事です。神社の神蔵で厳重に醸造された白く濁ったどぶろくが参拝客に振る舞われ、境内では獅子舞や「春駒」などの民俗芸能が奉納されます。作中で梨花が振るった祭具の鍬や、白い布団綿を引き裂いて川へ流す「綿流し」の儀式は、竜騎士07氏がこの土着の祭礼の厳かさと、かつて村の歴史にあった悲哀を融合させて生み出した独自のクリエイティブです。
過去には白川郷ひぐらしのなく頃にコラボとして、地域の観光連盟や店舗と連携した公式イラストカードの配布や、限定グッズの展開が散発的に行われた歴史もあります。しかし、白川郷の地域振興の本分はあくまで「世界文化遺産としての歴史的景観・伝統文化の保存」にあります。アニメコラボで過度に商業化された観光地とは一線を画し、地域住民が大切に守ってきた本来の神事の中にひっそりと作品の余韻を感じ取る姿勢こそが、長年この地を愛するファンに共通する美徳です。