夜明けを迎え、日光によって無惨が灰燼に帰した直後、第200話で描かれた光景は読者の涙腺を完全に崩壊させました。瓦礫の山となった戦場で、同じく無惨の攻撃で両目を失明し、胴体を抉られて瀕死となっていた蛇柱・伊黒小芭内が、息も絶え絶えの甘露寺蜜璃を抱き寄せます。
痛覚神経すら麻痺し、「私っ…何の役にも立たなかったよォ」「ごめんねぇ…」と自責の念に駆られて泣きじゃくる甘露寺に対し、伊黒は静かに、しかし確固たる優しさでその功績を称えました。「そんなことはない」「君がいなければ皆死んでいた」。自身の血筋に対する深い業と自己嫌悪に囚われ続けていた伊黒にとって、屈託のない笑顔で自分を肯定してくれた彼女こそが、暗闇の人生を照らす唯一の光だったのです。
死期を悟った二人のおばみつ告白シーンは、少年漫画史に刻まれる純愛の到達点といえます。甘露寺の「私…伊黒さんが好き」「生まれ変わったら、また人間に生まれ変われたら、私のことお嫁さんにしてくれる?」という魂の懇願に対し、伊黒は涙を流しながら「絶対に君を幸せにする」「今度こそ死なせない」と応じました。冷えゆく体温を分かち合いながら寄り添い、二人は共に静かに息を引き取ります。無惨戦における恋柱の死亡は、単なる戦闘の犠牲ではなく、互いの魂を救済し合う究極の愛の帰結でした。